学振 申請書について
学振でざわざわする季節となりました。
私はDC1が不採用Bで、翌年のDC2で面接免除で採用していただきました。
DC2にしては業績がよくなかったため、にわかには信じがたかったのですが、申請書の書き方で判断していただいたのだと思っています。
私自身がネット上の情報を色々と参考にさせていただいたように、今後申請される方の参考に少しでもなれればと思い、このような投稿をさせていただきます。
参考にしたもの
教授の添削(2名)
有名な学振本
学振申請書の書き方とコツ DC/PD獲得を目指す若者へ (KS科学一般書)
- 作者: 大上雅史
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2016/04/07
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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私はDC1応募前に購入したのですが、学振以外の申請書を書くときにも毎回流し読みしています。
3分の1くらいが「学振とは何か」といった話や、統計的な話に割かれていて、全体的にPDの情報もそこそこ含まれています。
そのため、全てのページがDCの申請書に直接参考になるわけではないのですが、ザッと一読すると心構えが変わると思います。
私は実際に試していないのですが、申請後に「自分のウェブサイトをつくろう」という発想はなかったなと感心しました。
ネットに落ちている、採用された申請書
- 学振取るまで(NAIST版)
Road to JSPS -- NAIST version
採用されたものとされなかったものが比較できて参考になりました。
- 有名な落合陽一さん
落合陽一/Dr.YoichiOchiai on Twitter: "毎年数人から学振の書類をくださいという連絡をいただくので今年は公開してみました.皆様の一助になれば幸いです.RT @ochyai: 落合の学振DC1の採用時の申請書類,参考にしたい方どうぞ! おいておきます! https://t.co/ZpxlVk59ar"
(ただただすごいなって感じですが)
私の申請書の特徴
体裁をととのえる
太字の有効活用
試行錯誤の末、私が選択したフォントは下記の通りです。
見出し:MSゴシック(太字)
本文:
- 基本的に游ゴシック Medium
- キーワードはMSゴシック(太字)
- 英数字はArial
太字部分だけを拾い読みするだけで、申請書全体が3分で読めるように心がけました。
見出しの部分にも、
■ 見出し:○○○○○
と、段落全体を一言でまとめたフレーズを入れています。
見出しの内容は、上で挙げた有名な学振本に記されている通り、申請書の指示に徹底的に沿って。
誤字・脱字はしない
誤字脱字変な日本語絶対許さないマンがこの世の中に存在することを考え、ちょっとした印象低下も避けました。
ハッキリ
文章をハッキリ
否定文ではなく肯定文で、主語と述語を明確に、など。査読者の方に行間を読んでいただくのを期待してはいけないので、まどろっこしい表現は極力避けました。
削除できる不要な表現(「~ということ」など)はすべて削除して、何度も音読してテンポよく読めるような文章に仕上げました。
正しい文章の書き方については、この本が参考になるのではないかと思います。
計画をハッキリ
2、3年後何しているかを書くのって難しいなと思っていました。でも、他の申請者にとっても難しいことだと思います。
結果がどうであれ、今この時点ではこういう計画であるということに嘘偽りはないので、どの時期に何をする
- 目的
- 目標
- 方法
を、箇条書きでハッキリ、視覚的に構造化しました。
よく使われるガントチャートについても、学会発表や論文発表の時期まで具体的に目標を掲げました。
あざとい
主張できることは全て主張する。くどく。
学会発表や受賞などについては、業績欄だけではなく本文中にも引用しました。
最大の見せ場は、自己評価の欄なのではないかと思っています。
ここでも、自分の人生で使えるネタは全て使いました。研究に直結するネタではなくても、上手く関連性をもたせて盛大なストーリーを組みます。
こんなこともこんなこともこんなこともしたよ!という小ネタの羅列ではなく、そこから大義や志に繋げることを意識しています。
博士課程を志しているくらいなのだから、これまでの研究内容や研究計画に関してはみんなそれなりに立派なものを提出します。
審査員の方もこういった申請書はたくさん読んできたわけで、いくらこだわって書いてもザッとポイントしか拾い読みしていただけないと思っています。「ふ~ん」というテンションで。
一方で、自己評価欄という名の自由作文欄は人によってさまざまで、読んでて結構おもしろいのではないでしょうか。私が人の申請書を読むとき、ここ楽しく読んじゃいます。
あくまでも、あくまでも持論です。私、人の論文はまず謝辞読んじゃう派です。
こんな力が大切?
コミュ力・発信力
学会に参加して顔を売ったり、有名な学振本に書いてあったようにホームページを作成したりして、自分と自分の研究内容を発信しておくことって大切なのではないかと感じました。
領域選択で奇をてらう作戦をとっていなければ、審査員の方のうち1人くらいは、お話ししたことのある方だったり、研究内容を知ってくださっている方だったりするかもしれません。この確率を上げるのは、自分次第です。
たとえこんな理由であったとしても、「おっ」と最初に興味をもって頂けないと、似たような申請書が無数にある中で、自分が記述した内容は審査員の方に入っていかないのではないでしょうか。
もう少しまともな理由を挙げると、発信し続けてる人って人に伝えることに慣れているため、申請書も的を射たものになり、通りやすくなるのだと思います。
ツイッターで有名人の方が学振とかさきがけ・CRESTとかほいほい通ってるように感じられるのは、この2つが理由かなと今のところ思います。
想像力
当たり前かもしれませんが、想像力をはたらせらせるのも大切なのではないかなと思いました。
審査員の方も人間、さらには大方大学の先生なので、指導教官の日頃の姿から自分の申請書に割かれる時間や熱意がある程度想像できるはずです。
それを踏まえて、どのように表現したら忙しい中、何十枚もの申請書の中から自分のに注目してもらえるか、工夫するのが大切なのではないでしょうか。
審査員の先生だけではなく、自分の申請書と同時に読まれるライバルの姿を想像して、差別化を図るのも必要だと思います。
一方で、 自分をアピールしつつも、ウザくなりすぎないように気をつけました。人間が読むことを考えると、ちょっとした心象が判断に影響を与えてしまうのは避けられないのではないかと考えました。
おわりに
もちろん大切なのは日々研究を進めて、申請書でアピールできるような成果を持っておくことです。
ですが、申請書の期限は決まっているわけで、その時点での自分で勝負するしかありません。
純粋な内容以外の部分、書き方や見え方の部分で、あがけることって結構あるのではないかと思います。
偉そうに色々書いてしまいましたが、試行錯誤の一助となれれば幸いです。